ポケットに手を突っ込んで通りをぶらつく。と、軽快な足音が背後から響いてきた。
「?」
振り向こうとして、身体に衝撃。体当たりされたらしい。ああこの角度、
「和弘……」
「よっ虎。」
彼は俺の隣に並ぶと、ちらちらと手を振った。 何してんの?
「別に何も。ヒマつぶし。」
「ふーん……最近寒いよね。」
おう、と彼に同意する。手、寒い。 手袋もしてないむき出しの手を、和弘は息で温めた。
「っ、これじゃラチあかないや……えいっ」
「ちょっ、つめたぁぁぁっ!?」
和弘はポケットに、自らの手を押し込めてきた。俺のポケットに、だ。 くっそこのやろ、
「あー温かい」
「俺は冷てぇよ!!くそっ出せ馬鹿、冷える、」
「いーじゃんカイロ代わりってことで。」
「少しは悪びれろっつうの!!」
そのまま押し合いへし合い、帰路を行く。ポケットの中の手は氷のようで、まぁつらそうだからいいかななんて____思っちゃうからだめなんだろうな。
2011/01/25:ソヨゴ